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解雇・雇止めについて

契約社員(有期契約労働者)の解雇・雇止め

 (1)解雇(契約期間中の解雇)の場合

契約期間の定めがある有期契約労働者(一般的には契約社員がこれにあたります)の場合,期間途中では「やむを得ない事由」がある場合でなければ解雇できません(労働契約法17条)。

しかも,この「やむを得ない事由」は,通常の解雇の場合の解雇の要件である「客観的に合理的な解雇理由があり,社会通念上相当と認められる場合」よりも厳しく解されています。

したがって,不況で一般社員の整理解雇が可能となるような場合でも,契約社員を期間途中で解雇することはできないこともあります。

 (2)雇止め(契約更新の拒絶)の場合

契約期間の満了により,原則として労働契約は終了します。但し,契約期間満了後も引き続き労働に従事し,使用者がこれを黙認していたときは,それまでと同一条件で労働契約が更新されたと推定されます(民法629条1項)。

なお,この場合の更新後の契約は,期間の定めのない労働契約となります(民法629条1項但書)。

もっとも,有期の労働契約を繰り返し更新している状況が続いており,期間の定めのない契約(正社員)と実質的に異ならない状態と認められる場合,正社員に対する解雇の場合と同様に考えられます(最高裁昭和49年7月22日)。

また,期間の定めのない契約(正社員)と実質的に異ならないとまではいえなくても,雇用がある程度の継続を期待されていたと認められる場合も,雇止めをするためには正社員の解雇と同じような規制が加えられます。

もっとも,後者の場合の判断は,正社員を解雇する場合に要求されるよりも緩やかに解されており,例えば正社員の希望退職を行わずに行った契約社員(有期契約労働者)全員の雇止めも有効とされています(最高裁昭和61年12月4日)。

しかしながら,会社(使用者)は,契約社員だからといって全く自由に雇止めできるわけでないことにはかわりありません。

どのような場合に雇止めが制限されるかは,裁判所が必ずしも明確な判断基準を示しているわけではなく,ケースバイケースの判断とならざるを得ませんが,おおよそ

などの事情から総合的に判断されているようです。